木版画カレンダー(11)/コロコロカレンダー(8)

寒くなってきましたね。いよいよ今年も大詰め。カレンダー制作も佳境に入ってきました。
午前クラスは続々と刷りの作業に入り、写真を撮る間もない忙しさ(笑)。
ということで写真は、刷りがひと段落ついて、版に修正彫りをしている様子です。試し刷りの結果を見ながら、彫り足りなかった所や描き加えたい箇所を更に彫ります。
一気に本番も刷って終わらせたい!という気持ちをぐっとおさえて、このステップを挟むことでさらに作品のクオリティを上げていきます。

午後クラスは今週は12か月分のうち10か月分の絵を描ききることを目標に、でも雑にならないように、一枚一枚丁寧に進めていっています。
机上に写真や図鑑を広げている様子が写っていますが、今回のようなイラスト風の表現でも何かしら資料を見て描くようにしています。たとえばクリスマスのトナカイ、何も見ずに描くのは大人でも難しいですよね。ましてやまだ視覚経験の少ない子供たちは、今はたくさん見て吸収するのが大事ですので、わからないものは見る癖をつけています。今回は特に描きたい絵に合わせて自分で資料を用意してもらっています。資料集めの習慣は大人になっても活きてくると思います。

木版画カレンダー(10)/コロコロカレンダー(7)

午前クラスの木版画は、試し刷りに入る子が出てきて忙しくなってきました。
実は小学校で行うローラーで油性インクを塗る木版画は「西洋式」です。今回は、葛飾北斎や東洲斎写楽など江戸時代の浮世絵と同じ「伝統木版画」という手法で、墨(+水彩絵の具)と糊を版の上で刷毛で混ぜ合わせて塗り、刷ります。墨の量の加減や紙の置き方等、慣れが必要なところもありますが、初めてにしては良く刷れていました。
今日刷った試し刷りを見ながら、版に修正の彫りをして、次回本番を刷ります。

午後クラスのサイコロカレンダーも、今回のルール「二つの要素を組み合わせる」にそって、みんなユニークな絵が生まれてます。色も綺麗ですね。
背景や広い面から塗る事や、黒を使わずグレーを作る方法、手前の主役を目立たせる背景の色との組み合わせ、立体感の出し方等々、カレンダーは枚数が多い分、色々な状況の絵を描く事になるので、学べる事も多いです。以前やったグラデーションの復習をしたり、ウェット・イン・ウェットといった水彩の技も使ってみたり…。成長が楽しみです!

木版画カレンダー(9)/コロコロカレンダー(6)

午前クラスの木版カレンダーも、だいぶ彫り進んできました。絵柄が見えてくると、グッと完成が近づいてきたように思えます。
今日は刷りの際に必要となる「見当」(一番下・参考写真)という部分も掘りました。紙を置く時の目印に使うものです。
刷りを目指して、もう少しがんばりましょう〜。

午後クラスのコロコロカレンダーは、12ヶ月分の絵を水彩で描くのが枚数が多く大変なのですが、1枚1枚描き進めていくうちに、慣れていって塗りも上達していっています。
一つの課題の中で成長が見られるのは嬉しいですね。

見当

木版画カレンダー(8)/コロコロカレンダー(5)

今週の様子です。
午前クラスの木版画によるカレンダー制作では、切り出し刀での作業が終わると、丸刀や平刀など他の種類の彫刻刀も使用していきます。
何より気をつけて教えていることは、実は「彫刻刀の持ち方」かもしれません。それぞれの彫刻刀で持ち方が異なり、持ち方が変だと上手く彫る事が出来ません。。基本ですから、しっかり覚えましょう。

午後クラスのコロコロカレンダーは、手前を引き立たせる為の背景との色の組み合わせや、筆の使い方、混色、陰影の表現などなど、水彩表現として学べることはたくさん。みんな上手くなってますよ。
早めにカレンダー課題に取り組み始めたつもりが、もう11月も中盤…早いですね。
がんばりましょう!!

木版画カレンダー(7)/コロコロカレンダー(4)

みんな集中して頑張っています?
午前クラスの木版画のカレンダーは、カレンダーの数字部分を彫り終えた子は、絵柄の輪郭の切り回し(切り出し刀でなぞる作業)に入っています。進んでいる実感のわかない地味な作業なのですが、大切な工程です。
午後クラスのコロコロカレンダー作りも、着色に入りました。絵のサイズは普段より小さいですが、その分塗りは細かくなりますので、はみ出したりしないないよう面相筆などの細い筆を使います。思いのほか時間がかかりますが、12枚と仕上げる枚数も多いので、どんどん塗っていきましょう!

木版画カレンダー(6)/コロコロカレンダー(3)

午前クラスは、みんな黙々とカレンダーの日付部分の彫りを行っています。
2ヶ月、60日分の日付を彫るのは結構大仕事ですね?。でもちょっと油断すると、6や8といった文字の◯部分が取れてしまったりするので気が抜けません。
でもこの反復練習のおかげで、みんなすっかり彫りの作業が板についてきました。
その調子で来週は絵の部分を頑張りましょう。

午後クラスのコロコロカレンダーは、先週まで考えたアイデア(エスキース)をもとに、L字に切った本番の画用紙に下絵を描いています。
今回絵を決める上で、一つ課題を出したのは、ただ季節のイベント(例えば鯉のぼり)を描いて終わりではつまらないので、「必ず何か二つの物を組み合わせること」。
これ、実はアイデアを考える発想術の基本で、大人のプロの世界でも同じです。
例えば、先々週にアップした見本では「栗を持つハリネズミ」(ただトゲトゲで似ているから・笑)のような。ただ栗を描くよりイメージや物語が広がりませんか?
ずいぶん個性的な絵が増えています。楽しみです。
木版画カレンダー制作風景(彫り)コロコロカレンダー制作風景(下絵)

グラデーションの絵(完)

(講師が展覧会などで忙しく更新が滞ってしまいました。申し訳ありません。)

さて午前クラスのグラデーションの絵が完成しましたー。?
それぞれの絵にストーリーや世界観があって良いですね。そして綺麗。
この課題の良いところとして、色相環や明度、補色など色への理解が深まるのもありますが、何より色への恐れがなくなって自由になることが嬉しいです。
空は青!、建物は灰色!である必要は全くないんです。絵の世界観の中でおかしくなければ良いんだということを実感してくれた気がします。

午前クラスは「転写」による絵画を作っています。カラーコピーや新聞、雑誌などの印刷物をアクリル絵具のジェルメディウムで貼り付け、乾燥したら紙の繊維をはがすことで、インクだけを画面に残す技法です。図像の予想外の組み合わせで面白い絵が生まれたりする、少し偶然性も利用した「描かない絵」です。アメリカのアーティスト、ロバート・ラウシェンバーグ(一番下)がこの技法で有名です。単純に格好いいですよね。

2019Sep1_転写制作風景 ロバート・ラウシェンバーグ

名画の模写(完)/グラデーションの絵(10)

模写が完成しました!
人物画はちょっとした筆致のずれで顔の表情が変わったりと、ハードルが高かったようですが、みんな本当によく粘りました。結果も大事ですが、模写を通して1つでもテクニックや表現のヒントを盗めたら大成功だと思います。次の絵に活かせますからね。
グラデーションの絵も来週には完成します。すごく密度のある絵になってきてます。お楽しみに〜。


グラデーションの絵制作風景

名画の模写(7)/グラデーションの絵(9)

レッスン中の写真を撮りそびれましたので、完成間近の途中経過をお見せします。
みんな頑張っていますね!

さて名画の模写は、実は美術の教育では割とアカデミックなものと捉えられがちです。あえて行っているのは「小・中学生の頭の柔らかいうちに、古典から印象派、ピカソくらいまで模写を通して、さくっと飲み込んでしまったほうが、その後のアートを理解するのに良いのでは?」という思いからです。胎児が魚から両生類、哺乳類と進化の歴史を追うように成長するのと同じく、模写を通して美術史をなぞることで、のちには難解と思われがちな現代の美術への理解にも自然とつながると思います。ともかく、みんな名画にしっかり食いついて、多くを吸収しているように見えます。

グラデーションの絵もだいぶ密度が上がってきました。何より、筆さばきや、絵具の薄め具合、混ぜ方、色の調整、色相環といった多くのことを身につけてくれているのが嬉しいです。今後生かされること間違いなし?
名画の模写〜途中経過グラデーションの絵〜途中経過

名画の模写(6)/グラデーションの絵(8)

模写は中盤に差し掛かり、だいぶ絵の全体像が見えてきました。
細かいですし大切な部分なので、顔は最後にとっておきがちになります。ですが、描かないことには全体のバランスもとれませんし、お手本の名画も大抵は顔が一番描きこんでいます。
油絵やアクリルは素晴らしいことに何度失敗しても上から描けますし、トライ&エラーの繰り返しが上達への近道ですので、恐れずにとりあえず描いてみる事が大切です。

グラデーションの絵は、どんどん皆要領を得てきています。
色を混色して作り、お試し用紙で色を確認し、はみださないようきっちり塗る。色のグラデーションを黄→赤→紫と色相環にならって色を移動させていく(黄→紫のように飛ばすのでなく)。壁の角度やカーブ、パースにあわせて塗るストロークの方向も合わせる…等々、一連の流れの中の細かな制作ポイントをしっかり身につけてきています。