自刻像(完成)/名画の模写(完成)

自刻像と名画の模写の完成作をご紹介します。
自刻像は、細部までしっかり作り込みました。顔を目、鼻、口、とパーツで観念的に見るのでなく、地形のように複雑に連なった面の起伏としてとらえて、一つ一つ「面の向き」を見る大切さがつかめたら成功です。確実に次に絵を描くときにも活かされてくるでしょう。

午後クラスの名画の模写では、名画との長期間にわたる対話が、良い経験になったのではないでしょうか。実は「作品を見る」という鑑賞体験は、美術を理解する上で「作る/描く」以上に大切な事です。(学校の授業では残念ながら軽んじられてしまっていますが…)
絵の具使いもとても自然になりました。アクリル絵具は油絵具とも同じく、水彩と違って失敗しても何度でも上から重ねて描くことが出来るところが優れた点ですので、諦めず何度でも粘って描くモチベーションと思い切りの良さが大事です。作品からも熱量が感じられますね。

自刻像(4)/名画の模写(7)

今週は全クラス、アトリエで通常レッスンです。
換気のため窓全開なので、春らしく暖かい気候になってきて助かります。手洗い・消毒も徹底しています!

午前クラスは自刻像の続きです。目/鼻/口/耳の構造について図を交えながらの解説を聞いてもらい、意識しながら、もう一度自分の顔を見てもらう。するとただ受動的に見るのと違って色々気づくようで、ぐっとリアリティが出てきました。残り1週です!頑張りましょう。

午後クラスの模写も、さらっと全体を埋めて終わりでなく、何度も絵の具のやり取りを繰り返した分、ぐっと絵に厚みが出てきました。巨匠の絵に引っ張られ、なんとか似せようと、みんな集中して描いています。絵の具の乗せ方もだいぶ上手になり、混色・重色などの技法、明暗など多くを自然に学んでいます。同じく来週で完成の予定です!

自刻像(3)/名画の模写(6)

午前クラスの自刻像は、まだディテールには入っていませんが、大きな形をつかむ為に、何度も粘土を付けたり取ったり、駆け引きしながら辛抱強く形を探っていっています。
人の顔は肉がありますので、丸くて滑らかにつながって見えますが、その下にある見えない大きな面を見極めるのがポイントです(下のビーナス像の面取り参照)。大人でもなかなか難しいですが、ちょっと感覚をつかめるといいですね。

午後クラスは、模写も中盤。絵をまねることをきっかけに、絵の具の乗せ方や、グレーズという重色(色を重ねる)の技法や、補色の知識など折り込みながら学んでいってます。まさに「まねる+まなぶ=まねぶ」ですね。
だいぶ本物の絵に近づいてきましたよ。がんばりましょう!

自刻像(2)/名画の模写(5)

今週も引き続き、午前クラスは自刻像。午後クラスは名画の模写を進めています。
自刻像は「粗付け」といって、大まかな肉付けをする工程です。大きな脳がつまっている頭部は思うより奥行きがあることなど、頭蓋骨の図を見せながら話しつつ、人間の頭の構造を意識して進めていってもらってます。ぐっと人間らしくなってきました。目、鼻、口を作りたい気持ちを抑えて、大きな形/塊/ボリューム感をつかんでいきましょう。

午後クラスの模写は、少しずつ細かい作業に入ってきています。細かい描写に入るとどうしても明暗のバランスが本物の絵と違ってきてしまったりします。
「部分を描きながらも全体を見る」、とても高度ですが絵を描くには必須な感覚で、もしかすると色々な世界で活かせる感覚かと思います。身につくといいですね。がんばりましょう〜。
自刻像制作風景名画の模写制作風景

自刻像(1)/名画の模写(4)

早いものでもう2月⁉︎ 午前クラスは新しい課題で「自刻像」です。
分を絵にくのが「自画像」、分を彫で作ることを「自刻像」。
立体から平面に置き換える自画像よりも、立体からそのまま立体にする自刻像の方が、もしかしたら作りやすいかも⁈と思い、以前午後クラスでもやってみた課題です。
ですが、どの角度から見てもちゃんと顔(しかも自分の顔)になるように作るのは実は高度な三次元的な捉えが必要になります。骨格や量感(ボリューム感)、面や構造をよく観察してじっくり作っていきましょう!

午後クラスの模写は、少しまだアクリル絵の具使いに慣れていないのか水彩風に薄塗りになってしまったり、どうしても絵全体でなく部分に目が行きがちな場合も見られますが、まずまず順調に進んでいます。
絵を見て塗り重ねの順番を見極めるのが一番ですが、基本的には遠くから近くへ、また大きい塗りからだんだん細かい描写へと進めると上手くいくと思います。飾れる絵を目指してがんばっていきましょう〜。
自刻像制作風景
模写制作風景

ピンポン球を持つ手の鉛筆デッサン(完)/名画の模写(3)

午前クラスは手のデッサンが完成しました!
今回の課題は楽しかったのか集中度が高く、全員ぐっと成長した気がします。
①手の構造(骨格、関節、筋肉のつき方)をよく観察すること。
②平面的な位置感だけでなく、遠近感(奥行き)をよく見て、どこが一番手前かを意識すること。
③白いピンポン球と手の「質感」や色の差を描き分けること。
④きれいだな、と感じながら描くこと。
等々、要点をしっかり意識して、とても誠実に描けています。

午後の模写は、アクリル絵具で本番に入りました。
描き始めたい気持ちをぐっとこらえて、まずは焦らずじっくりと絵と対話します。作者がどういう手順で描いていったか、本人になりきって想像します。
実は絵をよ〜く見るとヒントは隠れています。例えば、下のゴッホの玉ねぎの静物に描かれているろうそくの部分。青やピンクの薄い下地を塗った後に、ぽってりと白でろうそくを描き、青で輪郭を描き、黄色い線を最後に重ねた、と推察できます。奥深いですね。まるで推理ゲームのようですが、楽しみながら学んでいきましょう〜。


名画の模写・制作風景(日曜午後クラス)

ピンポン球を持つ手の鉛筆デッサン(2)/名画の模写(2)

午前クラスの鉛筆デッサンは、今週は光の当たり方をよく意識しながら、鉛筆の濃淡で明暗を入れていきました(専門用語で「調子」と呼びます)。4H〜4Bの鉛筆を寝かせたり、立てたり、ティッシュでこすったりと工夫をすることで、単なる白黒ではなく微妙な色や質の違いを出していきます。みんなよく粘って描いているおかげで、良いデッサンになってきています。来週完成予定です。がちっ!とつかめそうな、存在感のある手を目指して頑張りましょう!

午後クラスの模写は、カーボン紙を使ってキャンバスに輪郭線のトレースをしました。大人が模写を行う際は、トレースをせずに絵を見ながら似せて描いていきますが、そのステップは省略です。それでも、混色や色の配置、絵の具の乗せ方や多彩な表現、名画から学べることはたくさんあります。来週から絵の具に入ります。ゴッホやセザンヌらになりきって描いていきましょう!

ピンポン球を持つ手の鉛筆デッサン(1)/名画の模写(1)

2020年になりました!新年あけましておめでとうございます。

午前クラスの最初の課題は「ピンポン球を持つ手」の鉛筆デッサンです。
「手」はレオナルド・ダ・ヴィンチやデューラー(参考図版)など、はるか昔の巨匠たちの時代から描かれてきた、奥の深〜いモチーフ(対象)です。すぐそこにあっていつ でも描けるところもまた良いですね。今回は無機質なピンポン球を持ってもらい、手の柔らかさとの対比も表現のしどころです。順調なスタートです。

午後クラスは、名画の模写をキャンバスにアクリル絵の具で行います。
今週は鑑賞の授業も兼ねて、様々な巨匠の作品をじっくり画集で見てもらい、自分が描く絵を1点決めてもらいました。自分で描くという目線で見ると、絵を見る真剣さも変わりますね。下地も塗りましたので、来週から描き始めますよ!

名画の模写(完)/グラデーションの絵(10)

模写が完成しました!
人物画はちょっとした筆致のずれで顔の表情が変わったりと、ハードルが高かったようですが、みんな本当によく粘りました。結果も大事ですが、模写を通して1つでもテクニックや表現のヒントを盗めたら大成功だと思います。次の絵に活かせますからね。
グラデーションの絵も来週には完成します。すごく密度のある絵になってきてます。お楽しみに〜。


グラデーションの絵制作風景

名画の模写(7)/グラデーションの絵(9)

レッスン中の写真を撮りそびれましたので、完成間近の途中経過をお見せします。
みんな頑張っていますね!

さて名画の模写は、実は美術の教育では割とアカデミックなものと捉えられがちです。あえて行っているのは「小・中学生の頭の柔らかいうちに、古典から印象派、ピカソくらいまで模写を通して、さくっと飲み込んでしまったほうが、その後のアートを理解するのに良いのでは?」という思いからです。胎児が魚から両生類、哺乳類と進化の歴史を追うように成長するのと同じく、模写を通して美術史をなぞることで、のちには難解と思われがちな現代の美術への理解にも自然とつながると思います。ともかく、みんな名画にしっかり食いついて、多くを吸収しているように見えます。

グラデーションの絵もだいぶ密度が上がってきました。何より、筆さばきや、絵具の薄め具合、混ぜ方、色の調整、色相環といった多くのことを身につけてくれているのが嬉しいです。今後生かされること間違いなし?
名画の模写〜途中経過グラデーションの絵〜途中経過